タイムシャッフル
ネタバレなし感想
ハウスメイトのキャリーとフィン、ジャスパー。3人は偶然に、向いに住んでいた科学者が死亡しているのを発見する。部屋に立ち入り目にしたものは、壁一面に張り出された無数のポラロイド写真と、巨大なマシン。(C)2014 Veritas Productions, LLC
若者3人がたまたま見つけた「決まった時刻に未来を写す装置」を中心に、未来と過去に翻弄されるSF映画。
設定としてはSFなんだけど「少し不思議」の方のSFに近い。科学的な要素はあまりなくて、舞台装置としてサイエンスフィクションが登場するという形。装置の原理とかはあんまり説明されない。
基本的に自宅の中だけで話が進行するので画面的には変化に乏しいものの、話の展開は早くて色々起こるため飽きずに見られる。派手な映画を期待するとダメかも。でも低予算映画とは思えない面白さ。
「もし明日の事が分かるならどうするか」というありがちなネタだけど、登場人物たちの行動が割りと自然で違和感がない。
世にも奇妙な物語の豪華版くらいの感覚で観ると良いと思う。「時間モノ」なので、伏線とかが重要になってくるから結構ちゃんと観てないといけない。集中できるときにどうぞ。
ネタバレあり感想
原題は「TIME LAPSE」で、カメラを固定して定期的にシャッターを切るような技法の事をこう呼ぶ。邦題はこれ核心部の事を指してるのでは……そうだとするとネタバレクソ邦題案件だけど、まぁこのタイトルだけではわからないか。
すぐ賭けでお金儲けしようとする点が自然で良いなと思った。この手の設定だと何故かそういう事しようとしない事多いけど、もし自分が同じ状況になったら皆絶対お金儲けするでしょ!
ラストは「未来は変えられなかった」で終わり。ちょっと分かりにくいようなので以下解説。
キャリー(クソ女)は未来の自分から受け取ったメッセージに従ってジャスパー(クズ男)を殺すために、黄色テープが貼られた写真と一ヶ月前の浮気写真を入れ替えた。ジャスパー死後に「未来が変わった」と嘘をついて写真を入れ替え直した。フィンは未来が変わった(浮気の写真が消えたため)と思ったものの、未来が変わったのに過去の写真(ベゼリデスのポケットから出てきた2周間前のやつ)のキャンバスに「変わった後の未来の写真」と同じものが描かれている事から「未来が変わったわけではない≒写真が入れ替えられている」という事に勘付き、キッチンで怪しい行動を取るキャリーを発見。さらに窓際で「午前8時の指示撮影」をしているキャリーを見つけとっちめる。
キャリーは装置を壊そうとするフィンに「今から過去に指示を出せば写真も見つけず不幸を避けられる」と言っていて、これは浮気写真を見つけてジャスパーを殺す事なのかと思ったけど、張り出したのは「DON'T GET CAUGHT AT WINDOW(窓際で見つかるな)」で、これは窓際で「午前8時の指示撮影」をしている所を見つかるなという意味。つまりそこからやり直せばフィンにはバレずフィンを殺すこともなく、二人で幸せな未来へ、というつもりだったんだと思われる。二人のためにジャスパーは死んでよし、という本当にクソ女的な思考。
結局最後どうなったかは、ベゼリデスが2周間前に撮ってフィンが「いつの写真なんだ?」と言っていた、部屋に「DO NOT CROSS」の黄色テープが貼られた写真。キャリーが警察に捕まり、事件現場として封鎖された午後8時の写真というわけ。
金に目がくらんでホイホイ殺人に走ってしまうジャスパーがクソ野郎と見せかけて、その更に上を行くクソ女っぷりをキャリーが見せるという結末で面白かった。
ベゼリデスの死因が判明した事と、キャリーが写真を入れ替えた事から「未来は変えられる」という雰囲気になるけど、結局変えられずに終わっている。
何でキャリーは変えられると思っているのか?というと、キャリーはずっと「午前8時の指示」を出す事で過去をコントロールしてきたので「過去を変えられる」と強く思っているから。「未来写真と違う状態になると死ぬかも」もキャリーが言い始めた話で、これはキャリーが写真を使ってジャスパーとフィンを操作するために考えた設定と思われる(それも多分翌日の自分から指示を受けてやってる)。
まぁ黒幕はクソ女でしたという事なんだけど、フィンを殺したのは「無かった事にできる」と思っての事なんだろうから、悲劇ではある。