銀河伝説クルール
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遙か宇宙のかなた。壮大なロマンと愛に彩られ、銀河伝説はいま語り始められた! 惑星クルールは、大魔王ビーストの制圧を受け、絶滅の危機に瀕していた。 若き王子コルウィン(ケン・マーシャル)は、さらわれた恋人リサ姫(リセット・アンソニー)を助け出し、 再び平和を取り戻すため、冒険の旅に出た!!
スターウォーズとロード・オブ・ザ・リングを足して10で割ったような映画。でも個人的には凄く好き。
世界観はSFファンタジーで、どちらかといえばファンタジー寄り。魔法とかある感じの世界なんだけど、スターウォーズっぽいビームガンが出てきたりする。
ストーリーは王道で、攫われたお姫様を王子が助けに行くという内容。仲間を集め悪を倒しに行く、という流れでRPGゲームっぽさがかなりある。
1983年制作の映画で制作費は2700万ドル。当時最先端(?)のSFXが駆使された映画で、美術がなかなか良い仕事をしている。
全体的に微妙な点が多くB級映画めいた感じだけど、雰囲気が好きな人は気にいると思う。
ネタバレあり感想
原題は「Krull」で、邦題はいかにも80年代という雰囲気を醸し出している。
こういう雰囲気の映画は大好きなんだけど、レビュー等を見るとボロクソに書かれているのが殆どだし、興行的にも失敗している。残当と言わざるを得ない。
実はこの映画、子供の頃に観て気に入って長年探していた作品なので、ちょっと思い出補正が入ってしまっているのかもしれない。それでも、王道的なストーリー、SFファンタジーな世界観、デザインなど美術面が好き。
本作は全体的に話に脈絡がないというか、ストーリーがあまりないRPGゲームっぽさがある。個々のシーンがゲームのお使いっぽいというか…
手裏剣めいた必殺武器を冒頭で手に入れたのに「必要になるまで使うな」という謎の指示。あんなの使い方慣れてないと無理じゃない??という心配をよそに、ぶっつけ本番で使いこなす主人公。そういうトコの脈絡のなさみたいなのが雑映画感を醸し出している。でもあの武器がカッコ良くて好き。
ユニコ 魔法の島へ
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幻の動物・ユニコーンの子供ユニコが活躍するシリーズ第2弾です。 前作同様、手塚治虫の原作をもとに、スリルとファンタジー、メルヘンと愛と感動、そして冒険の6つの魅力がつまったアニメーション大作です。
手塚治虫原作の子供向けアニメ映画。「ユニコ」の2作目に当たり、1作目を見ていないと主人公の処遇に関する部分が分からないが、それ以外の部分は特に関連がなさそう。
1983年とかなり古い映画であるものの、アニメーションのレベルは非常に高く、お話も大人が観ても面白い内容になっている。ただし画質に関してはあまり良くなく、ゴミのような物がだいぶ入ってる。
あらすじとしては、人を幸せにする不思議な力を持ったユニコーンのユニコが、悪い魔法使いであるククルックにさらわれた人々を助けようとするお話。
ホラー映画ではないものの、怖いシーンが結構あって子供に観せるとトラウマ製造機になると思う。全体的に暗いムードの映画。
……とはいえ、やはり子供と一緒に観ると良いと思う映画。内容はとても良いし、コレくらいのトラウマあっても良いと思う。
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この映画は子供の頃にビデオで観たことがあって、半ばトラウマ化して記憶に残っていたものの、長年タイトル等が分からず気になっていた(というか、青いブリンクと混同していた)。Twitterでたまたま画像を見かけてタイトルがわかったので、改めて観てみた。
ビジュアル的に結構インパクトがあって、とルビーのデザインとかククルックの動きとかがよく出来てる。
ところどころ「これCGじゃないの??」っていうシーンがあるけど、時代を考えるとセル絵なんだろうなぁ。すごい。24枚/秒のディズニーと同じ枚数でアニメーションしているらしい。動くシーンではよく動き、不必要に動かしすぎていなくて好き。
トラウマシーンだった「生き人形にされて城の建造に使われる」というシーンは、やはり怖かったけど、トルビーの笛が良いし山猫がコミカルな演出になっていて、怖くなりすぎない様に配慮しているのかな?と思った(まぁトラウマになったんだけど)。
ククルックは動きも言動も怖い上に、声が日本むかしばなしの人(爺さまの方)で不気味さがありすぎる。これはトラウマになる。
ふいご島に居たでかい龍みたいなヤツも、動きがなかなか怖い。怖い要素が動きしかないのに十分怖いという所がすごい。しかし最後まで正体不明だった。
登場人物が結構酷いな、と観ながら思った。皆酷いところに来てククルックの生い立ちが哀しいので、善悪があまりハッキリしない。
山猫は理不尽に暴力振るってくる上に、子分がやられたらホイホイ悪の手下になるし、なったらなったで率先して悪いことをするという「いかにもな小悪党」で、最後まで特に改心もしない。実はコイツが一番の悪者という可能性すらある。
トルビーは、身内に対する同情心こそ残ってるものの他の人間はどんどん人形にしてしまうし、行動原理が割りと自己中。ククルックが盛んに「さぼるな」と言っている辺りからして、サボり癖がありそう。最初に動物を人形にしようとするところでも性格の雑さを遺憾なく発揮していた。家に帰って魔法を披露してスルーされるシーンが哀しい。悪事でも家族を幸せにしてやろう、というのも「いかにもな小悪党」(割りと善いヤツ)の代表例。
チェリー(妹)は良い子なんだけど、ククルックに対する「怖がられて喜ぶなんて、嫌な性格だと思うわ」「失礼だけど、気持ち悪いわ」で笑ってしまった。ユニコまで「そうだ!気持ち悪いぞ!」と乗ってくる。ユニコもチェリーもズバズバ物を言い過ぎで、子供の純粋な言葉の暴力という感じがある。
ユニコは悪い点なさそうだと思ったら、最後の方で圧倒的に不利な状況っぽいのに「本気を出すしかないのか……?」みたいな舐めプ発言。どういう事なのかと思ったら本当に舐めプで一撃決着(しかもそれすら本気じゃない)という。そこからの同情発言。大物すぎる。最初から本気出しとけよ と思った。人が人形にされてとんやぞ?!
最初は西風も「こいつ結構酷い事しよるな」と思っていたんだけど、1作目のあらすじを読んだところ、神々が「誰もが苦労をせず幸せになるのは良くない」という理由で過酷な場所へ追放しようとした所を、西風が同情心で「比較的マシな所」に下ろしてるらしい。神々が酷い。
ククルックは…当然悪い事をしてるんだけど、生い立ちといい玩具で遊んでいるところといい、憎みきれない面がある。人間に捨てられて人間を恨んでいるけど、悪者として人間に喜ばれていたという過去を引きずっている。ククルックが悪い事を悪いと認識してやっていたのかどうかも怪しくて、生来身についた生き方だったのかもしれない。ユニコも「ククルックは悪い事しかできないんだよ、だって良いことをした事がないんだもの」と言っている。悪事が必ずしも悪意から行われるわけではない、というのは結構難しい話だと思う。
しかし、城の規模を考えると使われた動物の量ってかなりありそうなので、魔法が解けたらすごい事になるのでは……とか思った。島の様子を見るに全部は戻らなかったのかな。城の崩壊シーンがラピュタを彷彿とさせる(ラピュタより本作のほうが数年前)。
ユニコの宿命(一所に長居できず、神々によって移動させられる)といい、全体的に不条理感のある良い映画だった。
クリミナル 2人の記憶を持つ男
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CIAロンドン支局のエージェント、ビルが重大な極秘任務の最中に死亡した。彼は米軍の核ミサイルさえも遠隔操作可能な恐るべきプログラムを開発した謎のハッカー、ダッチマンの居場所を知る唯一の人物だった。
記憶の移植を受けた死刑囚が主人公のスパイアクション映画。
記憶移植といいハッキングソフトといい荒唐無稽な感じなんだけど、まぁ勢いで乗り切ってる。割りと派手な映画。
常識知らずの極悪人の頭にCIAエージェントの記憶を移植したら、ちっとはマトモになるのでは?みたいなお話。
ケビン・コスナー、ゲイリー・オールドマン、トミー・リー・ジョーンズが主演。
キャストが豪華で映像も割りと派手、お話はちょい雑!そんな映画。
暇つぶしにどうぞ。
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原題は「CRIMINAL」で、意味は「犯罪者」。
CIAがポンコツすぎて酷い。CIAがもうちょっと優秀だったら事態収束してただろう。お話を回すアホの役割がCIAというのが残念すぎる。ハッキングで全米の兵器が自在に!というのは、何十年か前のハリウッド映画の感じでノスタルジック。
ラストは、ハッピーエンドっぽい雰囲気だけど「クソみたいな犯罪者がちょっと善意芽生えたからって無罪放免みたいな事でいいのか??」と思ってしまう。
人材としては「有能なCIAエージェントの記憶を持っていて、凶悪犯罪者のパワーが有る」という事でCIAエージェントにできれば有益という判断なのかもしれないけど……あのポンコツ局長の決断となると心配でしかない。
7BOX
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少年ビクトルは、通りかかった精肉店の店主から、100ドルを渡す代わりに7つの箱を運べと言われた。箱の中身は絶対に覗くなという店主の言葉を不審に思いながらも、ビクトルは大金欲しさから仕事を引き受ける。(c) 2013 maneglia schembori realizadoresv
荷運びの少年がヤバい物を運ぶ事になってしまうパラグアイ映画。
ごちゃごちゃと物だらけな市場の中を、手押し車に荷物を載せながら駆け回る映画なんだけど、これがかなり面白い。
7つの箱を中心に人々が翻弄されて、どんどんおかしな事になっていく。視聴者は「神の視点」で見ているのでその過程が分かって、ハラハラドキドキしながら見守る事になる。
ストーリーの面白さもさる事ながら、パラグアイの日常描写っていうのも日本人からすると新鮮で面白い。
そう難しい話でもないので、気軽に観て欲しい。
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原題は「7 CAJAS」で、英語では「7 BOXES」となっている。複数形のSをわざわざ除去してあるのが邦題らしくて面白い。「Caja」はスペイン語で「箱」らしい。
事態を縺れさせた原因の「金と間違えて人体をバラして箱詰めしちゃった」というのが、面白すぎる。
ネルソンと仲間たちが金絡みだからといって過激すぎるでしょ、と思うところだけど犯罪者から「信頼」されている運び屋という事だから、元々ヤバい奴だったんだろう。
最後は世界中のテレビに映れてチョット嬉しい という、全体的に悲惨な事になってる割りに軽い感じで良かった。
パラグアイは南米の中央辺りにある国で公用語はスペイン語。比較的貧しい国で貧富の差が激しい。治安もあまり良くないみたい。
警察車両が軽トラみたいなので、荷台で人と死体を一緒に運んでるとか、観てて「おぉ、こんな国なんだ!?」という点が結構あった。
ダイアリー・オブ・ザ・デッド
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『ゾンビ』の故ジョージ・A・ロメロ監督がPOVに挑んだ異色ホラー!ホラー映画を撮影していた映画学科の学生たちの元に、ゾンビ出現のニュースが届く。遂に彼らの元にもゾンビが襲い掛かるが、ジェイソンは全てをカメラに収めようと使命に燃える中、学生たちは次々に犠牲になっていく...。
モキュメンタリー(POV)手法のロメロ・ゾンビ映画。
「何でカメラを手放さないで撮ってるんだ?」というモキュメンタリーホラーに付き物の違和感を、映画の主題として据えているため問題化していない。また、映画学科の生徒が本格的なカメラで撮った物を編集済みという設定なので「映像がブレブレで見づらい」というような問題も起きておらず、モキュメンタリーでありながら「でも映画ですよ」という割り切りを感じる作品。
内容はロメロ監督らしいゾンビ映画で、社会批判に満ちている。派手さはあまりないしっとりとしたゾンビ映画。
死人はノロいんだ、そんなに早く動いたら足 が もげる(作中セリフより)
ネタバレあり感想
原題は「DIARY OF THE DEAD」でそのまま。制作費1000万ドルに対して興行収入は半分程度という残念な結果らしい。でも、ロメロ監督はこういう低予算映画のほうが良い感じがする。
モキュメンタリー・ホラーは個人的に「何でカメラを手放さないんだ」「画面が揺れて見づらい」「無駄シーン多すぎ」「完全リアルという設定なのにリアルじゃない点がある」といった不満があるが、この映画ではその不満点が解消されていると感じた。
「何でカメラを手放さないんだ?」については「何でだろう?」と映画の中で問う形になってる。映画の中でも疑問形にすれば、それは「映画構成のおかしい点」ではなくなる。作中ではそれなりに説明のヒントみたいな部分もあるから「何でだろうね?不思議だ、考えてみよう」というわけ。考えなきゃいけないのは観客側なのである。上手い!
「画面が揺れてみづらい」「無駄なシーンが多い」は個人撮影ビデオという設定にすると生じる問題で、なおかつ「単純に映画を観るのが苦痛になる要素」なので、排除するしかない。主人公が映画科の学生でカメラもちゃんとしている、しかも最終的に編集された映像 という事で排除してあるので問題なし。
モキュメンタリーホラーは「これは実際の映像です」という体にする事で「これは映画なのでオヤクソクですよ」という理屈が使えなくなるという問題がある。実際の映像なのにセットがショボかったり、役者の演技が不自然だったら「それはおかしい」という事になってしまう。本作ではこの点についてはちょっと曖昧なので、人によって受け取り方が違うかもしれないが個人的には「…とはいえ、映画ですよ」という作りに見えた。つまり「実際にあった事です」ではなく「実際にあった事風の映画です」という割り切りが感じ取れたので、映画的な演出や瑕疵についても気にならなかった。映像自体がいかにも映画的だし、セリフ等も飽くまで映画的。「モキュメンタリー」というのは「映画内の設定」という風にしか見えなかったし、それで良いと思う。
ゾンビ映画として何か革新的な所があるかというと特に無いと思うんだけど、これでこそロメロゾンビだという出来栄えだったので満足。