アムピトリテ 脱出不能な女たち
ネタバレなし感想
夜の太平洋、どこの陸地からも何百マイルも離れた海の上。違法漁業を取り締まるため、海に出た女性のみの乗組員たちは 難破した船から救出した見知らぬ人物に船内で追われるという窮地に陥る。この海域では悪行を許すわけには行かない。
女性のみ登場の海洋パニックホラー。2018年のテレビ映画です。テレビ映画なのでものすごく低予算っぽいです。
海上ホラー定番の「嵐がやって来る」というシチュエーション下で、女性乗組員たちが不可解な現象に遭遇し……という王道展開。
ホラー映画としては結構「キチンと作られている」という印象で佳作と言えそうな感じ。観ていて飽きちゃう、という事はあんまりないです。
一方でコレといった見どころもないため「ベーシックな閉鎖空間系パニックホラーの佳作を観たい」という人におすすめです。
ネタバレあり感想
原題は「Dead in the Water」で「船が海上で動けなくなる」という状態を意味するらしいですが「トラブルに巻き込まれて身動きが取れなくなる」という意味でも使われるようです。邦題の方は作中の船名ですね。
まず肝心のアムピトリテの設定が説明不足で今ひとつわからないんですが、海上自警団みたいな感じらしいです。シー・シェパードの密猟取り締まる版みたいな感じじゃないかと。乗組員がド素人ばっかりっぽいのも、そういう設定だと思うと「まぁそういう事もあるのかも」と思えてきますね。
何で女性ばかりなのかは説明ないですが、どうせなら拾う人物も女性にして完全に女性のみとかにすればよかったのに、と思います。
最初は感染モノかと思わせておいて実はモンスターホラーという流れで、何となく遊星からの物体Xを思わせる雰囲気でしたが、大きな違いは「モンスターがショボい」でしょうね。
モンスター映画において、モンスターは最も重要なポジションです。最後まで姿が観られないとモヤモヤする一方で、はっきり姿が観られても見た目がショボいと一気に冷え込みます。
この映画の場合は「…イカじゃん」という事で、ものすごく残念でした。CGとしての出来栄えも微妙ですが、どうせCGならもう少し怪物らしくすれば良いのに。銃弾を受け止めた辺りは「ものすごく頑丈なイカならできそう」という説得力ありました。
何か黒いヒゲで人間操るみたいな所はちょっと面白かったですが、本体がイカみたいな感じなのとつながりがよくわからないし、何がしたかったのか。
「ラストは誰か一人助かるけど怪物に乗っ取られている風の演出があって終わりかな?」と思ってたんですが、だいたいそんな感じでしたね。
モンスター・フィールド
ネタバレなし感想
父親と話していたダニーは、家の外が騒がしいことに気付く。すると突然窓ガラスが割れ、父親が謎の生物に襲われてしまう!さらに何体もの怪物が家の中に侵入し、ダニーと弟のウィリアムに襲いかかってくるのだった。(c) 2014 miso film
デンマーク製の無難なモンスターパニック映画。
ところどころ雑な部分はあるものの、全体的にしっかりした作りになってる。モンスターも出しすぎず、出さなすぎず、という感じ。ただしあんまり怖くない。派手さもそんなにない。
悪い点は少ないんだけど、コレといって良い点もなく、佳作といった感じ。
無難なモンスターホラーを暇つぶしに観たい人におすすめ。終わり方もキチンとしている。
ネタバレあり感想
原題は「Danny's dommedag」で、Google先生によると「ダニーの審判の日」という意味らしい。ダニーは主人公(兄)の名前で、映画内容によく合ってる。邦題もそう酷くはない。
モンスターの魅せ方がいかにもB級くさくて、きっとこれは最後までハッキリ出てこないんだろうなぁ と思ってたらハッキリ出てきてしまった。そしてやはりショボいCGだった。出さんほうが良かったやつ。
トースターに反射した姿とかは不気味で怖い感じで良かったと思う。それがまさかウーパールーパーみたいなやつとは……
一応お話としては「人間が温暖化を引き起こしたせいで生態系が変化して~」という事なんだと思う(冒頭の教師の話から)。ただ、その辺りは特に描かれてない、メインはダニーと弟の関係とかなんだろう。
父親を即座に諦める判断が的確で良かった。その割に母親を探しに出てしまう辺りがアレだけど。
「怪物は音に敏感」みたいな設定の割りに、音出しすぎじゃないの?みたいな気がする。
最後の毒ガス作戦も「決断早いな!」とか「猶予時間短すぎじゃないの!?」とか思った。これがアメリカなら「やっぱ米軍米政府は非情」というトコだと思うんだけど、デンマークはどんな感じなのか分からない。
ストーム・インパクト
ネタバレなし感想
理科教師のジョーは、気象研究のスペシャリスト。ある日、街に巨大な隕石が墜落する。続いて街を破壊していく異常気象が発生。ボストンの市民たちは大パニックに。(C) 2013 Rock Storm Productions (Tftm3) Inc. All Rights Reserved
異常な竜巻が石をばら撒きながら暴れまわるチープなディザスタームービー。
開始5分で「あ、これアホな映画だ」となるものの、結構真面目に作ってある。ただし予算が無かったのか非常にチープで、安っぽすぎて笑ってしまう。お話も物凄く雑なので、雑なB級ホラー映画好きでないと厳しい。真面目な目で観てはダメなやつ。笑える。
「荒唐無稽」な災害タイプで、人々の対応含めあまりリアルではないためディザスタームービーとしては微妙なところ。
ホイホイ人が死ぬものの、緊張感に欠けるのでホラーというよりコメディに近い(一応、いたって真面目に作ってある)。
展開はご都合主義でツッコミどころ満載、CGはチープ、セットもチープ。そんなB級クソ映画だけど真面目に作ってあってそれなりに飽きずに観られる。
ツッコみながら笑って観たい人におすすめ。
ネタバレあり感想
原題は「Stonados」で、作中で登場した「Stone + Tornado = Stonado」という造語の複数形。邦題もそう悪くないと思う。
まぁ、もう開始直後の女性が竜巻に引き込まれるところから既にギャグだよねコレ。
その後の黒人が隕石に潰される所も、コレは完全にギャグでやったとしか思えないんだけど、その後は真面目にディザスタームービーやってるので「もしかして真面目か……?」と疑問。
降ってきた石で人間が綺麗に消滅するのが面白すぎる。予算が無いからなんだろうけど。
空から爆発する石が降ってくると分かったのに、主人公たちの無防備ふりと来たら…やっぱB級映画の主人公はこうじゃないと務まらないね。
割りと非常事態宣言モノなのに、海上局の対応しか出てこない辺り、予算の都合なんだろうけど不自然すぎる気がする。
ラストの5トン(TNT換算値と思われる)爆弾をランチャーで手動投擲しようっていうの、計画の時点で既にギャグなのに「発射できない→車に載せて突撃」というのは、これはもう完全に笑わしに来ていると思った。軍人呼ぶのが間に合わないとしても警察とかがやる所なのでは。
「爆発性のガスだから火をつければ一発で消滅、竜巻で火の気が吸収されるから……」という理屈なら、上陸した時点で可燃性物を吸い込んで自爆消滅しそうなものだけど、そこはやはり何トンかくらいの爆発力は必要だったという感じだろうか。
予算がないのに大作と同じ様なディザスタームービーの作り方した点に敬意を表しつつ、やはりディザスタームービーはお金掛けないとダメなんだねっていうのがよく分かった。
スパイダー・シティ
ネタバレなし感想
ルイジアナ州で発生した地震により巣穴を奪われた巨大グモたちが、地上に出て人々を襲い始めた!ツアー会社で働きながら、お気楽な生活を続けていたポール。ポールはバスツアーのガイド中に巨大グモに遭遇する。(C) Aed Arachnoquake, LLC . 2012
巨大クモが出てくるスパイダーパニック映画。馬鹿映画。
何故か一ジャンルとしてあるスパイダー・パニック映画なわけだけど、期待を裏切らず「ハリウッドのバカっぽい映画」をやってる。その割には全体としてダメな点が少なくて、結構楽しめる。
もちろんCGはショボいし、取ってつけたような設定が突然出てくるし、バカとしか言いようがない、ショボいB級映画。そんなアホ映画を楽しみたいな、という人におすすめ。
あとターミネーター2のエドワード・ファーロングがチョイ役で出てくる。
ネタバレあり感想
原題は「ARACHNOQUAKE」で「Arachno」は蜘蛛、「Quake」は揺れ/振動。直訳するなら「蜘蛛震」という感じだろうか。
全体的に予算がなくておバカな映画なのに、割りと真面目に作ってある風な所が良い。展開もダレず、お話としてもまとまってる。BGMの入れ方が良くて、音楽で乗り切ってる感ある。
ツッコミどころは数え切れないほどあるけど、それも含めて魅力だろうか。
「スパイダークイーンを倒せばすべてのクモは死ぬ!」という、あまりにも取ってつけたような映画的設定も、ここまでアホ映画だと「そういう感じでしょうね!」としか思わない。でも、生物学の先生がちゃんと解剖してその理屈を説明している、みたいな所がキチンとしている。B級映画にしては丁寧な仕事だと思う。クモが火を噴く設定も石油会社が掘削してシェールガスが云々という理屈をちゃんとつけてる。悪いのは人類の環境破壊なんだ、みたいな雰囲気をちょっと出してみたりしてる。
いい加減なダメ男だった主人公が成長するみたいな取ってつけたようなストーリーの柱もちゃんとしてあって、偉いなぁと感心した。
最後は大爆発&ヒーローの生還というのも「ハリウッド映画だし当然そうだよね」みたいな感じでスッと受け入れられる。
ダイアリー・オブ・ザ・デッド
ネタバレなし感想
『ゾンビ』の故ジョージ・A・ロメロ監督がPOVに挑んだ異色ホラー!ホラー映画を撮影していた映画学科の学生たちの元に、ゾンビ出現のニュースが届く。遂に彼らの元にもゾンビが襲い掛かるが、ジェイソンは全てをカメラに収めようと使命に燃える中、学生たちは次々に犠牲になっていく...。
モキュメンタリー(POV)手法のロメロ・ゾンビ映画。
「何でカメラを手放さないで撮ってるんだ?」というモキュメンタリーホラーに付き物の違和感を、映画の主題として据えているため問題化していない。また、映画学科の生徒が本格的なカメラで撮った物を編集済みという設定なので「映像がブレブレで見づらい」というような問題も起きておらず、モキュメンタリーでありながら「でも映画ですよ」という割り切りを感じる作品。
内容はロメロ監督らしいゾンビ映画で、社会批判に満ちている。派手さはあまりないしっとりとしたゾンビ映画。
死人はノロいんだ、そんなに早く動いたら足 が もげる(作中セリフより)
ネタバレあり感想
原題は「DIARY OF THE DEAD」でそのまま。制作費1000万ドルに対して興行収入は半分程度という残念な結果らしい。でも、ロメロ監督はこういう低予算映画のほうが良い感じがする。
モキュメンタリー・ホラーは個人的に「何でカメラを手放さないんだ」「画面が揺れて見づらい」「無駄シーン多すぎ」「完全リアルという設定なのにリアルじゃない点がある」といった不満があるが、この映画ではその不満点が解消されていると感じた。
「何でカメラを手放さないんだ?」については「何でだろう?」と映画の中で問う形になってる。映画の中でも疑問形にすれば、それは「映画構成のおかしい点」ではなくなる。作中ではそれなりに説明のヒントみたいな部分もあるから「何でだろうね?不思議だ、考えてみよう」というわけ。考えなきゃいけないのは観客側なのである。上手い!
「画面が揺れてみづらい」「無駄なシーンが多い」は個人撮影ビデオという設定にすると生じる問題で、なおかつ「単純に映画を観るのが苦痛になる要素」なので、排除するしかない。主人公が映画科の学生でカメラもちゃんとしている、しかも最終的に編集された映像 という事で排除してあるので問題なし。
モキュメンタリーホラーは「これは実際の映像です」という体にする事で「これは映画なのでオヤクソクですよ」という理屈が使えなくなるという問題がある。実際の映像なのにセットがショボかったり、役者の演技が不自然だったら「それはおかしい」という事になってしまう。本作ではこの点についてはちょっと曖昧なので、人によって受け取り方が違うかもしれないが個人的には「…とはいえ、映画ですよ」という作りに見えた。つまり「実際にあった事です」ではなく「実際にあった事風の映画です」という割り切りが感じ取れたので、映画的な演出や瑕疵についても気にならなかった。映像自体がいかにも映画的だし、セリフ等も飽くまで映画的。「モキュメンタリー」というのは「映画内の設定」という風にしか見えなかったし、それで良いと思う。
ゾンビ映画として何か革新的な所があるかというと特に無いと思うんだけど、これでこそロメロゾンビだという出来栄えだったので満足。