パーフェクト・ゲッタウェイ
ネタバレなし感想
ハワイに新婚旅行にやってきたクリフとシドニーは、この辺にカップルを狙う男女二人組の猟奇殺人犯が潜伏しているというニュースを耳にする。そんな中、同じく旅行者のニックとジーナのカップルと道中をともにすることになるが。
あらすじの通り、男女カップルの殺人鬼が居るという情報から出てくる人達のどれが殺人鬼カップルなんだろう?という所を軸にハラハラ・ドキドキする感じの映画。結末が分かってしまうとつまらないので前情報なしで観た方が良い。
映画半分くらいまであまり大した展開もなく進むんだけど、そこそこ作りが上手いのと映像が綺麗なためギリギリ飽きずに観られた。
いきなりビデオ撮影風の画面から始まったので「また糞モキュメンタリーホラーかよ」と思ったけど本編は違ったのでモキュメンタリーホラー嫌いな人も安心して欲しい。
ミラ・ジョボビッチが主演で、激しいアクションシーンとかもある。
あと舞台になってる島がすごく綺麗で、映像的に楽しめる映画だと思う。
ネタバレあり感想
原題は「A Perfect Getaway」。Getawayは「逃走」以外に「短期休暇」という意味もある。
ミラ・ジョボビッチが出てるのにアクションしない感じなのかな、と思ったら覚醒後が完全にミラ・ジョボビッチだった。
衝撃の展開みたいな映画はよくあるけど、この映画は紙一重で失敗している感じがした。というのも、この手の展開では「衝撃の事実(どんでん返し)」が分かった時点で、視聴者がそれまでの伏線をパッと思い出して「そうか、アレか!」と気づく必要がある。その気付きこそがどんでん返しの魅力になる。
ところがこの映画、その伏線を上手く隠しすぎてて、再度見直さないとわからない。どんでん返しの時点では「え??おかしくね??」と思ってしまう人が多いだろう。観客を騙すためだけにそれまでのシーンが構成されているという感じで、納得感に欠ける。
主人公たち怪しいな、というシーンは結構あったし、警察がヘリで誤認逮捕した時にカバンから歯入りケースが出た時に「これは主人公が犯人っぽいな」と思ったんだけど「でもそれだと今までのシーン説明できないのでは……」という事でかなり混乱した。
ただ、結末を知ってからもう一度観ると伏線が色々あるというか、シーンの意味が違っている事が分かる。
クリフがシドニーに携帯電話で殺人犯のニュース写真を見せるシーン、初見ではニック達を殺人犯と疑っているように見えるが、実は自分達の写真が公開されてバレないか心配しているというシーン。
テントでクリフが「殺人犯かも」と言っていたと誤認してる人が多いようなんだけど、あのシーンではシドニーが「適当な理由をつけて出発しよう」と言ったのに対して、クリフが「何て言うんだ?2人が殺人犯だと思うからとでも?」と言っているだけ。つまり売り言葉に買い言葉みたいなセリフで、ニック達を殺人犯と疑ってるわけではないという事が分かる。
クリフは本性からすると、本心で怯えるとは思えないので、怯えている様なシーンは単に「気弱な脚本家」を演じ続けているためだろうし、シドニーや他の人に対する発言は「殺人犯として現状を認識しようとしている」という程度の内容になってる。
……とまぁ、後から見直してみると「意外と破綻してないんだな」という事が分かるんだけど、見直さないとそれがわからないというのが残念ポイントだと思われる。
「緊急事態になってから考えても手遅れだ、とっくに死んでる」というセリフが気に入った。普段からこういう風に考えて備えておくべきである。