映画ノ壺

7BOX

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少年ビクトルは、通りかかった精肉店の店主から、100ドルを渡す代わりに7つの箱を運べと言われた。箱の中身は絶対に覗くなという店主の言葉を不審に思いながらも、ビクトルは大金欲しさから仕事を引き受ける。(c) 2013 maneglia schembori realizadoresv

荷運びの少年がヤバいブツを運ぶ事になってしまうパラグアイ映画。

ごちゃごちゃと物だらけな市場の中を、手押し車に荷物を載せながら駆け回る映画なんだけど、これがかなり面白い。

7つの箱を中心に人々が翻弄されて、どんどんおかしな事になっていく。視聴者は「神の視点」で見ているのでその過程が分かって、ハラハラドキドキしながら見守る事になる。

ストーリーの面白さもさる事ながら、パラグアイの日常描写っていうのも日本人からすると新鮮で面白い。

そう難しい話でもないので、気軽に観て欲しい。

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原題は「7 CAJAS」で、英語では「7 BOXES」となっている。複数形のSをわざわざ除去してあるのが邦題らしくて面白い。「Caja」はスペイン語で「箱」らしい。

事態を縺れさせた原因の「金と間違えて人体をバラして箱詰めしちゃった」というのが、面白すぎる。

ネルソンと仲間たちが金絡みだからといって過激すぎるでしょ、と思うところだけど犯罪者から「信頼」されている運び屋という事だから、元々ヤバい奴だったんだろう。

最後は世界中のテレビに映れてチョット嬉しい という、全体的に悲惨な事になってる割りに軽い感じで良かった。

パラグアイは南米の中央辺りにある国で公用語はスペイン語。比較的貧しい国で貧富の差が激しい。治安もあまり良くないみたい。

警察車両が軽トラみたいなので、荷台で人と死体を一緒に運んでるとか、観てて「おぉ、こんな国なんだ!?」という点が結構あった。


スパイダー・シティ

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ルイジアナ州で発生した地震により巣穴を奪われた巨大グモたちが、地上に出て人々を襲い始めた!ツアー会社で働きながら、お気楽な生活を続けていたポール。ポールはバスツアーのガイド中に巨大グモに遭遇する。(C) Aed Arachnoquake, LLC . 2012

巨大クモが出てくるスパイダーパニック映画。馬鹿映画。

何故か一ジャンルとしてあるスパイダー・パニック映画なわけだけど、期待を裏切らず「ハリウッドのバカっぽい映画」をやってる。その割には全体としてダメな点が少なくて、結構楽しめる。

もちろんCGはショボいし、取ってつけたような設定が突然出てくるし、バカとしか言いようがない、ショボいB級映画。そんなアホ映画を楽しみたいな、という人におすすめ。

あとターミネーター2のエドワード・ファーロングがチョイ役で出てくる。

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原題は「ARACHNOQUAKE」で「Arachno」は蜘蛛、「Quake」は揺れ/振動。直訳するなら「蜘蛛震」という感じだろうか。

全体的に予算がなくておバカな映画なのに、割りと真面目に作ってある風な所が良い。展開もダレず、お話としてもまとまってる。BGMの入れ方が良くて、音楽で乗り切ってる感ある。

ツッコミどころは数え切れないほどあるけど、それも含めて魅力だろうか。

「スパイダークイーンを倒せばすべてのクモは死ぬ!」という、あまりにも取ってつけたような映画的設定も、ここまでアホ映画だと「そういう感じでしょうね!」としか思わない。でも、生物学の先生がちゃんと解剖してその理屈を説明している、みたいな所がキチンとしている。B級映画にしては丁寧な仕事だと思う。クモが火を噴く設定も石油会社が掘削してシェールガスが云々という理屈をちゃんとつけてる。悪いのは人類の環境破壊なんだ、みたいな雰囲気をちょっと出してみたりしてる。

いい加減なダメ男だった主人公が成長するみたいな取ってつけたようなストーリーの柱もちゃんとしてあって、偉いなぁと感心した。

最後は大爆発&ヒーローの生還というのも「ハリウッド映画だし当然そうだよね」みたいな感じでスッと受け入れられる。


ダイアリー・オブ・ザ・デッド

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『ゾンビ』の故ジョージ・A・ロメロ監督がPOVに挑んだ異色ホラー!ホラー映画を撮影していた映画学科の学生たちの元に、ゾンビ出現のニュースが届く。遂に彼らの元にもゾンビが襲い掛かるが、ジェイソンは全てをカメラに収めようと使命に燃える中、学生たちは次々に犠牲になっていく...。

モキュメンタリー(POV)手法のロメロ・ゾンビ映画。

「何でカメラを手放さないで撮ってるんだ?」というモキュメンタリーホラーに付き物の違和感を、映画の主題として据えているため問題化していない。また、映画学科の生徒が本格的なカメラで撮った物を編集済みという設定なので「映像がブレブレで見づらい」というような問題も起きておらず、モキュメンタリーでありながら「でも映画ですよ」という割り切りを感じる作品。

内容はロメロ監督らしいゾンビ映画で、社会批判に満ちている。派手さはあまりないしっとりとしたゾンビ映画。

死人はノロいんだ、そんなに早く動いたら足 が もげる(作中セリフより)

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原題は「DIARY OF THE DEAD」でそのまま。制作費1000万ドルに対して興行収入は半分程度という残念な結果らしい。でも、ロメロ監督はこういう低予算映画のほうが良い感じがする。

モキュメンタリー・ホラーは個人的に「何でカメラを手放さないんだ」「画面が揺れて見づらい」「無駄シーン多すぎ」「完全リアルという設定なのにリアルじゃない点がある」といった不満があるが、この映画ではその不満点が解消されていると感じた。

「何でカメラを手放さないんだ?」については「何でだろう?」と映画の中で問う形になってる。映画の中でも疑問形にすれば、それは「映画構成のおかしい点」ではなくなる。作中ではそれなりに説明のヒントみたいな部分もあるから「何でだろうね?不思議だ、考えてみよう」というわけ。考えなきゃいけないのは観客側なのである。上手い!

「画面が揺れてみづらい」「無駄なシーンが多い」は個人撮影ビデオという設定にすると生じる問題で、なおかつ「単純に映画を観るのが苦痛になる要素」なので、排除するしかない。主人公が映画科の学生でカメラもちゃんとしている、しかも最終的に編集された映像 という事で排除してあるので問題なし。

モキュメンタリーホラーは「これは実際の映像です」という体にする事で「これは映画なのでオヤクソクですよ」という理屈が使えなくなるという問題がある。実際の映像なのにセットがショボかったり、役者の演技が不自然だったら「それはおかしい」という事になってしまう。本作ではこの点についてはちょっと曖昧なので、人によって受け取り方が違うかもしれないが個人的には「…とはいえ、映画ですよ」という作りに見えた。つまり「実際にあった事です」ではなく「実際にあった事風の映画です」という割り切りが感じ取れたので、映画的な演出や瑕疵についても気にならなかった。映像自体がいかにも映画的だし、セリフ等も飽くまで映画的。「モキュメンタリー」というのは「映画内の設定」という風にしか見えなかったし、それで良いと思う。

ゾンビ映画として何か革新的な所があるかというと特に無いと思うんだけど、これでこそロメロゾンビだという出来栄えだったので満足。


タイムシャッフル

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ハウスメイトのキャリーとフィン、ジャスパー。3人は偶然に、向いに住んでいた科学者が死亡しているのを発見する。部屋に立ち入り目にしたものは、壁一面に張り出された無数のポラロイド写真と、巨大なマシン。(C)2014 Veritas Productions, LLC

若者3人がたまたま見つけた「決まった時刻に未来を写す装置」を中心に、未来と過去に翻弄されるSF映画。

設定としてはSFなんだけど「少し不思議」の方のSFに近い。科学的な要素はあまりなくて、舞台装置としてサイエンスフィクションが登場するという形。装置の原理とかはあんまり説明されない。

基本的に自宅の中だけで話が進行するので画面的には変化に乏しいものの、話の展開は早くて色々起こるため飽きずに見られる。派手な映画を期待するとダメかも。でも低予算映画とは思えない面白さ。

「もし明日の事が分かるならどうするか」というありがちなネタだけど、登場人物たちの行動が割りと自然で違和感がない。

世にも奇妙な物語の豪華版くらいの感覚で観ると良いと思う。「時間モノ」なので、伏線とかが重要になってくるから結構ちゃんと観てないといけない。集中できるときにどうぞ。

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原題は「TIME LAPSE」で、カメラを固定して定期的にシャッターを切るような技法の事をこう呼ぶ。邦題はこれ核心部の事を指してるのでは……そうだとするとネタバレクソ邦題案件だけど、まぁこのタイトルだけではわからないか。

すぐ賭けでお金儲けしようとする点が自然で良いなと思った。この手の設定だと何故かそういう事しようとしない事多いけど、もし自分が同じ状況になったら皆絶対お金儲けするでしょ!

ラストは「未来は変えられなかった」で終わり。ちょっと分かりにくいようなので以下解説。

キャリー(クソ女)は未来の自分から受け取ったメッセージに従ってジャスパー(クズ男)を殺すために、黄色テープが貼られた写真と一ヶ月前の浮気写真を入れ替えた。ジャスパー死後に「未来が変わった」と嘘をついて写真を入れ替え直した。フィンは未来が変わった(浮気の写真が消えたため)と思ったものの、未来が変わったのに過去の写真(ベゼリデスのポケットから出てきた2周間前のやつ)のキャンバスに「変わった後の未来の写真」と同じものが描かれている事から「未来が変わったわけではない≒写真が入れ替えられている」という事に勘付き、キッチンで怪しい行動を取るキャリーを発見。さらに窓際で「午前8時の指示撮影」をしているキャリーを見つけとっちめる。

キャリーは装置を壊そうとするフィンに「今から過去に指示を出せば写真も見つけず不幸を避けられる」と言っていて、これは浮気写真を見つけてジャスパーを殺す事なのかと思ったけど、張り出したのは「DON'T GET CAUGHT AT WINDOW(窓際で見つかるな)」で、これは窓際で「午前8時の指示撮影」をしている所を見つかるなという意味。つまりそこからやり直せばフィンにはバレずフィンを殺すこともなく、二人で幸せな未来へ、というつもりだったんだと思われる。二人のためにジャスパーは死んでよし、という本当にクソ女的な思考。

結局最後どうなったかは、ベゼリデスが2周間前に撮ってフィンが「いつの写真なんだ?」と言っていた、部屋に「DO NOT CROSS」の黄色テープが貼られた写真。キャリーが警察に捕まり、事件現場として封鎖された午後8時の写真というわけ。

金に目がくらんでホイホイ殺人に走ってしまうジャスパーがクソ野郎と見せかけて、その更に上を行くクソ女っぷりをキャリーが見せるという結末で面白かった。

ベゼリデスの死因が判明した事と、キャリーが写真を入れ替えた事から「未来は変えられる」という雰囲気になるけど、結局変えられずに終わっている。

何でキャリーは変えられると思っているのか?というと、キャリーはずっと「午前8時の指示」を出す事で過去をコントロールしてきたので「過去を変えられる」と強く思っているから。「未来写真と違う状態になると死ぬかも」もキャリーが言い始めた話で、これはキャリーが写真を使ってジャスパーとフィンを操作するために考えた設定と思われる(それも多分翌日の自分から指示を受けてやってる)。

まぁ黒幕はクソ女でしたという事なんだけど、フィンを殺したのは「無かった事にできる」と思っての事なんだろうから、悲劇ではある。


神の手 血塗られた儀式

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北欧・スウェーデンが生んだ極上のミステリー!平和な港町ヨーテボリで、遺体の背中に奇妙な印が切り刻まれるという連続殺人事件が発生。事件を担当することになった刑事は、元牧師の女性と捜査を進める内に、事件の裏に、この世のものを超えた力が関わっていることに気付き始める。

内容は派手なのにダラダラした雰囲気のスウェーデン製オカルト・ホラー。2016年。

お話の内容としては「連続猟奇殺人事件」「カルト教団」「大規模な暴動」といかにも派手な感じなのに、観ていると眠くなるほどダラダラしている。アクションシーンも多いけど下手くそとしか言いようがなく、緊迫感に欠ける

猟奇殺人と言ってもグロ/ゴアシーンみたいなのはさほどなく、痛そうなシーンも今ひとつ緊迫感がない。

宗教モノとして見ても微妙だし、誰におすすめしてよいやらわからない。一応真面目に作られた映画で、ちゃんとお話としては出来ているので一応★2にした。

最後の方で割りと面白くなってくるので、暇な人は我慢して見てみると良いかもしれない。

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原題は「Vilsen」で意味はよくわからない。邦題は内容をそのまま表してる。

カルト教団モノだけど本当に母なる主を呼び起こしてしまうオカルト展開になった点はちょっと予想外だった。

警察があまりにも雑魚すぎるなぁと思ってみていたけど、オカルトという事で犯人側が強すぎたという設定っぽい?のが最後になって分かった。いやまぁどう見ても警察官がショボいんだけど。

基本的な映像レベルはそれなりにあるものの、アクションシーンの下手くそさはちょっと酷いし、音楽の入れ方とかもとにかく「全然集中して見る気にならない」という感じなので、もう単純に出来が悪いんだろう。

お話そのものは結構好きなタイプなので残念。